
身体や財産を守ってくれる「成年後見人」 市民感覚で寄り添うNPOで相談を
数年後には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれ、高齢者の「おひとりさま」も増え続けている現代。お金に健康、孤独――不安は1つでも解消しておきたいもの。いざという時の備えの1つ「成年後見人」は、財産の管理だけではなく、見守りや公的手続きなど多岐に渡る。経歴も職種も様々な人が集まったNPO法人STEP(ステップ)は、気軽な雰囲気で相談者に寄り添った提案をしてくれる。

代表理事の竹村哲也さんは、成年後見人について「法律用語が並ぶと難しく聞こえますし、『手続きがしんどい』『お金がかかる』と敬遠しがちです。でも認知症の可能性がある高齢者や障がいのある方にとっては必然」と話す。例えば、何もしないまま認知症になると国が「法定後見人」を決めてしまう。知らない人に財産を預けるのは、誰しも抵抗があるはず。そこで元気なうちに信頼できる人を見つけて、成年後見人を予約する「任意後見人」の活用をすすめている。
STEPは「セミナー」「個別相談」「後見人の引き受け」の3本柱で、成年後見制度の知識啓発を行っている。複数の後見人を引き受けている理事・須山耕二さんは「うちは市民感覚に寄り添う“市民後見活動”を掲げて、最低でも月2回はお宅を訪問します」という。任意後見契約には拡張型があり、判断力がしっかりしていても、病気や身体が不自由ですぐに生活の支援が必要な人は「委任契約」もできる。須山さんの場合、お金の管理が苦手な一人暮らしの人と一緒に生活の立て直しを考えたり、突然の入院時には、手続きなど事務対応も行うことも。


熊川サワコさんは、自身の親の介護で大変だった時に成年後見人制度を知ったことをきっかけに支援スタッフになった。相談者から「『元気だし、後見人はまだ必要ないのでは』と言われるけど、どう思う?」と聞かれることも多いという。そんな時は、相談者の気持ちに寄り添いながら、後見人相談士®や上級終活カウンセラーといった多数の資格と自身の経験を踏まえてアドバイス。「弁護士さんや司法書士さんに相談するのは敷居が高く感じる方も、STEPなら『成年後見人って何?』と気軽に聞いていただけます。ご本人が安心、安全に過ごせることが一番なので、後見人制度は必ずしも使わなくてもいいんです」という言葉も心強い。
NPO法人 障がい者・高齢者市民後見 STEP ステップ
