【堀井あかねさん　藍野病院　介護福祉士　入職6年目】

　現在26歳の堀井さんは、高校生の頃から保育か介護の業界で働きたいと思っていたと言う。「まず何よりも人と関わる仕事がしたくて…。おばあちゃん子だったこともあり、最終的には介護の道に進もうと決めました。高校3年生の頃からアルバイト先として特別養護老人ホームを選んだのも、少しでも実践経験を身につけたいという想いからでした」。高校卒業後は介護系の養成校で専門知識をつけながら、特養でもアルバイトを並行。豊富な経験と資格を得たという。
　そんななか、なぜ就職先として、堀井さんは藍野病院を選んだのだろうか。「特養ではやりがいを感じつつも、ナースの数が少なかったりと入所者の方の健康的な面での不安がありました。でも病院なら、医師や看護師と一緒に仕事ができるので、なにかあった時にすぐに相談できたり、治療できる環境が整っているので、私たち介護福祉士も安心して自分の業務に専念できると思ったからです」。
　堀井さんは、現在は15人の患者さんの担当。「いずれは退院して社会に戻っていく際に必要な力を、日々の入院生活の中で身につけていってもらえるように介護計画を立てています。たとえば自分の足でもっと歩きたいという方には、トイレに行く時も歩行器を使って行ってもらうなど、患者さんとコミュニケーションを大切にして、やってみたいことなどを聞いて実践できるように心がけています」。
　明るくてユーモアセンスもある堀井さんは、患者さんからの人気も高い。「連休明けで、久しぶりに出勤すると〝見かけないから心配しててん〟と声をかけていただくことも。そんなふうに気にかけてもらっているのがすごくうれしいですね」。最後に、この介護福祉士の仕事への想いを聞いた。「一生の仕事として、自分に何ができるだろう、と考えた時に人と一緒にいる時間を少しでも明るく、楽しい時間にすることができればいいな、と。みなさんの人生の終末期に、自分が関わったことで、ええ時間やったな、楽しかったな、と思ってもらえるようにこれからもがんばっていきたいです」。

【髙橋是生さん　藍野病院　介護福祉科　ケアワーカー長（介護福祉士）　入職15年目】

　藍野病院の介護福祉科でケアワーカー長を務める髙橋是生さん。15年前に看護補助として入職し、その後、介護福祉士の資格を取得。長年にわたって現場を率いてきたベテラン職員だ。「昨年から現場を離れて、堀井さんや嵩下さんのような若い方たちが働きやすい環境を作る立場の仕事に就かせていただいています。58歳になって現場の仕事が体力的に難しくなってきたことを上司に相談したところ、これからはケアワーカー長としてフォローアップにまわってほしいと言われました」。
　髙橋さんの仕事は、各病棟をまわってスタッフが快適に働くことができているかどうかを見守り、アドバイスをしたり、職場環境の向上に注力している。「さりげない会話から、仕事について悩んでいないか、ストレスを抱えていないかを聞いています。管理というよりは、どちらかというと〝縁の下の力持ち〟のイメージで、自分としてはみんなと一緒に楽しく働くことができればいいな、と思っています」。
　子育て中の女性も多く働いているので、お子さんの急な体調不良で早退したり、休まざるを得ないこともあるそうだが、「藍野病院の職員はみんな、自分もフォローしてきてもらった経験があるので、ものすごく協力的です。そういった良い風習はこれからも継続できるようにしたいですね。とにかく現場のスタッフが楽しそうに仕事をしているのを見るのが私の喜びなので、できることはなんでも取り入れるという気持ちです」。
　そんな髙橋さんは自身の年齢から感じることがあると言う。「私くらいの歳になると、みなさん何かを遺したいと思うようになります。お金とか名声とかいろいろありますが、私は〝人〟を遺したい。今まで自分がやってきたことを、次に続けてくれる、繋げてくれる人材を育てたい。そのためにも頑張っている人が評価される環境を作りたいと思い、看護部の副部長と一緒にシステムを構築しています。職員が笑顔で働くことが、ひいては患者さんにも心地よい病院になると思うので、これからも自分にできることを頑張っていきたいと思っています」。