石井さんは過去の現場経験を生かし、「老人ホームへの住み替え」ありきではなく、「自宅に住み続ける」ことも選択肢に入れた提案を行う。介護の話は家族が当事者になってから慌てて決めざるを得なくなる人が多いが、「しっかり準備すれば、在宅で過ごせる時間も長くなるんです」と石井さん。一方で「家族の介護の負担が大きくなり、支えることができなくなることがないよう、本人だけではなく家族にも寄り添った提案をすることが大切です」と話す。また入居が決まった際も、本人が納得して選ぶことで施設での生活も幸せに過ごせるケースが多いという。

これまで多くの高齢者が住み慣れたまちや自宅を離れる場面を目の当たりにしてきた石井さん。「居は気を移し、養は体を移す（住む場所や環境が、その人に与える影響は大きい）」という孟子の言葉を胸に刻み、「住まいは雨露がしのげればいいというものではありません。ましてや介護を必要とする方が人生の終盤に身を置く住まいを選ぶときは、細心の注意を払うべきです」と語気を強める。「カラフル」という社名は「その人の個性が輝くような住まいづくりや“住み替え”の提案をしたい」という思いを込めて考えた。社名を体現すべく地元の高齢者に寄りそっていく。