〈特集〉暮らしの「ウチ」「ソト」アップデート

コロナ禍に入り2年が過ぎました。おうち時間やリモートワークが当たり前になってきたからこそ「もっと快適に暮らしたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。そこで今月号では、読者アンケートで寄せられた暮らしの悩みを「ウチ」と「ソト」に分けて、すぐにでも取り入れられるポイントを専門家にアドバイスしてもらいました。

＜この方に聞きました＞

インテリアコーディネーター／ICA関西正会員
Calm Interior Design　林千恵さん
ハウスメーカーにインテリアコーディネーターとして入社。工務店・ビルダーなどを経て2021年に独立し、吹田市でCalm Interior Designを立ち上げる。

「ウチ」の中で、まず見直したいと挙がったのはリビング。家族と過ごす時間が増えたことで、「距離感が近すぎてストレスが溜まる」「視線や動作が気になって落ち着けない」という悩みが多かった。そこで、まず取り入れたいのが「視線」を意識すること。

「例えば、パーテーションや観葉植物を活用して、空間を区切る方法。視線を遮ることで適度な距離感を保てます。ただし、座ったときの目線の高さ(約120cm)を意識して、圧迫感を感じないように上の空間を残す、もしくは、両面から使えるオープン棚で飾った小物に視線が集まるようにしつつ抜け感を意識すること」。

ウチはリビング、キッチンが上位に。家族と過ごす時間が増えたことで、トラブルも多くなったという。ソトは庭・ベランダ。こちらも在宅時間が増えたことで、気になるようになったという声が。

よく座る場所に棚やグリーンを置くと、緩やかな区切りができる。しっかりと区切りたい場合は、パーティションなど高さのあるものを置くと良い。

また、リビングでのリモートワークの悩みも多かった。「同じ空間で生活と仕事を切り替えるのは難しいですよね。すぐに実践できるのが、座る位置の工夫です。仕事に集中したいとき、家族と会話するときに最適な配置は異なりますから、目的に応じて変えてみるといいでしょう」。

次に気になるのが、「自炊が増え、食器や調理道具が散らかる」という声があったキッチン。散らかるということは収納場所と動きが合っていないから。動線を意識した収納を考えてみよう。

「例えば、コンロの下にはフライパンと油など関連するものを一緒に収納しましょう。さらによく使うものは手前に取り出しやすくするなど、余分な動きを減らせる配置を考えてみることで、片付けも楽になります」。

「ソト」の見直しで多かったのが、庭やベランダの活用法。「グリーンを置いたものの枯らしてしまう」「どこに置けばいいのか分からない」といった声が。「これらもウチと同様に視線を意識しましょう。吊り下げ式のプランターや屋外用の棚を活用してみてください。常に視界に入る高さにあればインテリアとして効果的ですし、世話を怠りにくくなります」。

最近注目されている「ベランピング」も簡単に取り入れられる方法の一つ。「ベランダに屋外用のテーブルやイスを置いて、朝食やティータイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。リモートワーク時の休憩におすすめです。環境を切り替えることでリフレッシュにもなりますよ」。

すぐに実践できるのが座る位置を工夫すること。お互いが集中したいなら視線が合わないよう、斜めに座る。話しをするなら正面や横に並ぶなど目的に応じて工夫を。

視線に合わせることで、インテリアとしても効果的で、水やりを忘れることも防げる。

部屋の片付けや模様替えを始める前にやっておくべきなのが、「どんな部屋にしたいのか」家族とよく話し合うことです。個々の性格が異なるように、たとえ家族でも部屋に抱く印象は異なります。良かれと思って作った空間が、他の家族には落ち着かなく感じることも。まずは、家族全員がリラックスできること、ストレスに感じることを話し合って、どんな空間にするのか、また、性格やタイプの違いを考えてみましょう。

記事作成日：2022年4月