-茨木市-プロ3戦目でWBOアジア太平洋バンタム級王座に「魂が震える勝利」を目指して世界一へ

2021年のデビューから、プロ3戦目にしてWBOアジア太平洋バンタム級王座決定戦で王者に輝いた、プロボクサーの赤林檎さん。迫る9月には、WBCインターナショナル女子スーパーフェザー級王座決定戦への挑戦を予定している。世界へ挑戦し続ける意気込みを聞いた。

偶然見かけた日本拳法がきっかけで格闘技の世界に

スポーツ一家に生まれた赤林檎さんが、格闘技に興味を持ったのは10代の頃。家族みんなで卓球をするために訪れた体育館で、偶然見かけた日本拳法に心を奪われたという。「これだ！って心の中で思いました」。以降、日本拳法を学び、高校1年生のとき、西日本学生選手権で準優勝という好成績を残し、大学にはスポーツ推薦で進学。第21回白虎会優勝大会で優勝するなど、ますます格闘技に魅了されていった。

「戦うことが何にも代えられないくらい好きです。自分はどこまで強くなれるのか、世界にはどれくらい強い人がいるんだろう、とよく考えます。まだまだ知らない強い人たちと戦って一番になりたいという思いから、どんどんのめり込んでいきました」。不動産会社への内定が決まっていたものの、「もっと別の格闘技にも挑戦したい」との思いから、格闘技の道を選択。2018年には総合格闘技でプロデビューを果たしたが、「リーチの長さや打撃の強さといった自分の良さを生かしたい」と、2020年にボクシングへ転向した。

WBOアジア太平洋バンタム級王座
赤林檎さん（本名：中井麻美）
1994年生まれ。茨木市在住。大阪府立山田高等学校、追手門学院大学卒業。10代の頃に始めた日本拳法がきっかけで格闘技の世界に。高校1年生のとき、西日本学生選手権で準優勝。2018年、女子総合格闘技（MMA）でデビューし、2020年にボクシングへ転向。デビュー3戦目でWBOアジア太平洋バンタム級王座を獲得。真正ボクシングジムに所属し、リングネームは「赤林檎」。

築き上げたスニークなスタイル

2021年4月のデビューから2戦2勝の快進撃で、今年の4月にはWBOアジア太平洋バンタム級王座に挑戦。2RKO勝利し、3戦目にしてタイトルを獲得。「デビューから3戦目でタイトルに挑戦できること自体がなかなか無いなので、本当にありがたかったです。おかげで、世界一への道のりが見えてきました」。

タイトルを獲れた理由を聞くと、「今まで培った独自のスタイル」だと話してくれた。トレーニングは週に6日間、主に大阪市内の公園で行っている。「総合格闘技時代から歩んできたトレーナーと一緒に、その日にやりたい練習だけをしています。事前に決めた練習をするのが普通ですが、私は楽しくできるので、成果も高まるように思います」。また、対戦相手によって戦術を立て、戦い方を変える選手も多いが、赤林檎さんは一切変えないという。　

「これまでに経験した格闘技のスキルを詰め込んでいます。アグレッシブでパワフル、泥臭い攻撃が最大の武器。せっかく築き上げたのに、相手によって変えてしまうとその強みがブレてしまいますよね。戦術を立てるのも素晴らしいですが、自分のスタイルで勝負したいし、自分を信じられないと戦えないですから」。

9月には待望の世界戦

9月には、韓国のソウルでシン・ボミリ選手とWBCインターナショナル女子スーパーフェザー級王座決定戦に出場する予定だ。「階級を上げての挑戦になるので体重制限がない分、今まで以上にリラックスして練習に励むことができています」。シン・ボミリ選手は、パワーがあって、今までで一番強い対戦相手だという。さらに、アウェイでの対戦ということもあって、下馬評では相手が有利といわれている。「不利な状況ですが、それを覆せたら最高にかっこいい。KOで勝ちたいですね」。

現在も茨木市に住む赤林檎さん。「とても心地いいなって思っています。人も親しみやすくて、自然もあって、生活する分にはまったく困らない。茨木市駅付近にいけば飲み屋もたくさんありますからね。よく、『都会に行かないの』って聞かれますが、安心できる環境があるからこそ、困難なことにも立ち向かえるんだと思います。魂が震えるような勝利を勝ち取るまで、リングに立ち続けたいですね」。

記事制作日：2022年8月