■物語をあらゆる角度から深掘りする授業
「この時の主人公の気持ちはどうだった?」「心境の変化が見えるセリフは何ページに書いてある?」
教師が次々と問いかけ、生徒もすぐに返答する。履正社中学校で行われている言語技術の1年生の授業の様子だ。この日は小説・海辺の王国(ロバート ウェストール著)をまるごと一冊読み解く「丸本」に取り組んでいた。大きな白板に図や表を使いながら、物語を整理することで登場人物の関係性や心の動きが見えてくる。
「このように一冊の本を通して、様々な事象について教師と生徒で議論をすることで、生徒は〝読む〞スキル、そしてそれを言語化するスキルを習得していきます」と話すのは、『つくば言語技術教育研究所』の三森先生。生徒は板書を書きうつすだけではなく、自分が感じたことを自分の言葉で書く力も積み重ねている。