戸島さんは、前職で高速道路の建設や維持管理を行う会社に勤務。総務や経理、広報と歴任したのち法務部門へ異動し、知財の管理や契約書の審査など法律に関わる業務を担当することになった。「初めての経験でしたが、法律の勉強は全く苦になりませんでした」と、本人にとっても意外な適性を発見。その後、在職中に行政書士の国家試験に見事合格した。
行政書士の資格を取得したものの、当初は事務所を開くつもりはなかったそう。ところが、「お客さまの顔が見える仕事をしたい」との思いが日に日に募ることに。熟考の末、今年8月に独立開業へと踏み切った。

「街の法律家」とも呼ばれる行政書士の仕事は、官公署に提出する書類の作成や手続きの代行をはじめ、非常に幅広いのが特徴だ。ただ、戸島さんは「法律を理解していれば簡単にできる仕事、というわけではありません」と指摘する。

学生時代は野球漬けの毎日を過ごした戸島さん。現在も多忙な仕事をこなしながら、休日には地元の野球チームで汗を流している。また、長年の大ファンである阪神タイガースの応援は「ライフワーク」と語るほどの入れ込みようだ。公私ともにバイタリティあふれる日々を過ごす戸島さんだが、その人生は常に順風満帆だったわけではない。
「実は、数年前に甲状腺がんが発覚し、治療を受けた経験があります。この経験があったからこそ、悩みや不安を抱えるお客さまの気持ちに寄り添えると思っています」。

「今は、司法書士の資格も取得しようと勉強に励んでいます。私の妻も、社会保険労務士の資格取得に向けて勉強中です。将来的に、自分たちの事務所だけで対応できる業務の種類を増やして、お客さまに提供できるサービスの幅を広げていく考えです」。
がんの罹患という大きな出来事さえ受け止め、常に笑顔を絶やさない戸島さん。「なんでも相談できる街の法律家」としての理想の姿を追いかけながら、常に前を見据えている。