俳句コーナーVOL.32 入選作品を紹介!
2022.05.09
4月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
地下街てふ鏡の國をぬけて春
和泉市 押見 げばげば
地下街を鏡の国に見立てたというところが秀逸です。その国を出れば春がいたというところもまた、素晴らしい。「ぬけて」という措辞も目立たないですが、地下街と地上の春を繋ぐ働きをしっかりとしています。
【 入 選 】
囀や母の小さき玩具箱
吹田市 秋山 寛
季語によってお母さんの玩具箱の存在がぐんと大きくなりました。
暖かや空へ小枝の産毛めく
茨木市 暖井 むゆき
「産毛めく」で空へ突き出す小枝が春の到来の喜びを伝えています。
よもぎ餅香りと共に電車待つ
豊中市 東村 美紀
蓬餅の香に癒されている姿がそこはかと感じられ、気持ちよいです。
春眠の夢の中なる探しもの
豊中市 上杉 千代子
井上陽水の歌を思い出しました。気持ちよい春の眠りとはこんなもの。
春望なり防空壕も我が庭も
豊中市 田村 由紀子
空爆や難民のニュースが途切れません。時事俳句もまた貴重です。
【 佳 作 】
居酒屋に踏切の音木の芽和え
吹田市 高嶋 文範
暖かやいつも行き合ふこのあたり
茨木市 河本 要
ひともとの双葉の雫落ちにけり
高槻市 青木 幹子
ままごとの客となりたり地虫出づ
西宮市 青木 淳子
陽炎のやうなるものか物忘れ
茨木市 廣田 静子
◆ つぶやき評 ◆
コロナ禍は続いていますが、感染対策をして俳句活動は続けたいと思っています。自然の中にわが身を置いて、展開される自然、人間も含めての姿を言葉で描くこと。そうすれば季語が必ず寄り添ってくれることでしょう。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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