【健康寿命をのばそう】歌うことは心身の健康への第一歩
2020.01.13
近年、高齢者の口腔機能の改善や認知症予防の観点から、音楽療法を導入する介護・福祉施設が増えている。介護現場ではどのような効果を見せているのか、音楽療法専門のデイサービス、エムズスタジオを取材した。
歌は脳を刺激する高度な表現方法
エムズスタジオは、全国でも珍しい音楽療法に特化したデイサービス。室内には、様々な楽器と音響機器、カラオケ機材があり、合唱やリズム体操などの音楽活動がレクリエーションの大半を占める。「歌を歌うということは簡単そうに見えますが、実は高度な脳の処理が行われる、人間ならではの表現方法なのです」と話すのは、エムズスタジオ代表で音楽療法士の西尾慎太郎さん。歌詞を目で追ったり、メロディやリズムに合わせて発声をしたり、すべてが脳への刺激となるという。こうした側面が認知症予防に繋がっているのだが、「歌にはまだまだ高齢者を元気にする力があります」と西尾さんは話す。
元々、音楽関係の仕事をしていた西尾さん。音楽により高齢者が活き活きとしていく様子を目の当たりにしたことから、音楽療法専門のデイサービスをスタートした。
みんなの前で歌うことで自信が持てるように
高齢になると、定年退職や独居などを要因に、人と会話をする機会は減ってくる。口を動かさないことは、口腔機能の低下に繋がるが、歌うことで嚥下状態の改善が見られた利用者も多いとのこと。また、全員での合唱や、カラオケで好きな歌を歌うことは、コミュニケーション不足の解消、ストレスの解消にもなる。社会との関わりが減ると、自分に自信が持てなくなる人は多いが、人前で歌うことで自己肯定感が高まり、〝うまくなりたい〟という向上心が生まれるという。自宅で歌ったり、若いころに弾いていた楽器を始めたり、利用者の家族が目に見えて「元気になった」様子を知ることができるのも、音楽療法の特徴と言える。
デイサービス M's studio エムズスタジオ
住所
西宮市小曾根町2-1-29
電話番号
0798-44-3353
HP
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