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俳句コーナーVOL.57 入選作品を紹介!

2024.06.03

4月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。

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【 優秀賞 】

啓蟄やくるんと弾む指サック

和泉市 押見げばげば
紙めくりのために指にはめるゴムのサック。「くるんと弾む」というのは、指に付けた時の感触でしょうか。かなり距離のある季語との取り合わせで、景がぐんと広がりました。

 

【 入 選 】

ひなげしは好きなところで咲いている

豊中市 麻殖 生伸子
雛罌粟だから肯定できること。どの花も願っていることだとも思います。

石鹸玉二階の母のところまで

高槻市 葉月庵 郁斗
少しきつめに吹いた石鹸玉。想定外のところへ。でもそれは嬉しいことです。

体重計下りて上って夏近し

高槻市 土井 あくび
夏が近くなると、ついつい気になること。何度も確認しているのでしょうか。

薔薇の名は覚えぬままに一巡り

豊中市 安藤  知明
薔薇の名前は片仮名が多い。そのため薔薇園を出でも覚えていないですね。

啄木忌腹這いて聞く波の声

大津市 近江  菫花
畳の上で腹這になっていると聞こえてくる波音。啄木の詩に思いが及びます。

 

【 佳 作 】

戦前のことは知らない辛夷咲く

豊中市 小倉  佳子

春雨のふつと泡だつ水たまり

岐阜市 ばん かおり

日出づる国に生まれて朝寝せり

高槻市 土井 あくび

花の雨テールランプにある孤独

大阪市 平川  直子

 ◆ つぶやき評 ◆ 
もの俳句に挑戦してください。一か月あれば俳句になりそうなものに必ず出合うはずです。そのものの形や色、動きなどを描くことです。季語は見える季語を選んで、鋭い取り合わせの句に仕立ててください。

 

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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。

 

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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。

【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160

【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。

 

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山口昭男先生の最新巻の紹介

シリーズ自句自解Ⅱベスト100 山口昭男定価1500円+税 版元 ふらんす堂

既刊句集より100句抄出して著者みずからが解釈を付したもの。一句が出来上がるまでの作家の推敲のあとをたどることができ、実作者の句作りにおおいに役立つ入門書である。(Amazonなどで販売中)

 

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