俳句コーナーVOL.61 入選作品を紹介!
2024.10.02
8月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
秋うららクレヨン色の宛名かな
豊中市 山上 秋葵
クレヨン色が面白い。具体的な色はわかりませんが、何となく子供が書いた宛名のように思います。さて、手紙の中身は何だったのでしょうか。いろいろと想像できて、また面白いです。
【 入 選 】
ひよっとこの口は曲がりて秋立ちぬ
京都市 草夕 感じ
踊りに使ったのでしょうか。夏も終わりひよっとこの面が掲げられています。
まくなぎの真中へペダル踏みにけり
和泉市 押見けばげば
まくなぎがいても自転車は走ります。あっと思う間のスローモーション。
手のひらにのせて大なる鯊の口
茨木市 角島 健二
釣り上げた鯊を掌に乗せています。その大きな口に充実感が満ちてきます。
稲妻や音なく開く鯉の口
吹田市 秋山 寛
水槽の鯉は稲妻など素知らぬ顔で餌を食べています。光だけの無音の世界。
すぐ伸びる赤子の爪や夜半の秋
高槻市 土井 あくび
しみじみと赤ん坊の爪を見ている眼を感じます。季語で深まりました。
【 佳 作 】
そろり友訪ねて来たる秋の風
豊中市 安藤 知明
夏の川雑魚寝したり喧嘩したり
熊本市 貴田 雄介
よく晴れて落ちる木の実はよく弾み
高槻市 黒田 豊子
踊り場のなき階段や秋の蟬
岐阜市 ばんかおり
紅蜀葵チベットの旗はためけり
吹田市 堀井 咲千子
◆ つぶやき評 ◆
少し暑さが収まってきました。さあ、吟行の季節。俳句は想像の世界の産物ですが、その基になるのが自然の中に身を置いてよく見ること。普段見慣れていることでもこれはと思うことがあります。そこが俳句になってゆきます。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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