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‐茨木市‐ 水泳ニッポンの生みの親、杉本傳についての伝記『デンさんのプール 杉本傳~水泳ニッポンを作った男』(小学館)が出版された

2025.12.11

大阪府立茨木中学校(現・茨木高校)の教師として、日本初の学校プールを建設した杉本傳氏の生涯を、同校卒業生である脚本家大野裕之氏が取材に基づいて描いた書籍『デンさんのプール 杉本傳~水泳ニッポンを作った男』が出版された。

杉本傳(すぎもと・つたえ、通称「デンさん」)は、茨木中学(現・茨木高校)で生徒だった川端康成や大宅壮一らと一緒にグラウンドを掘って、大正初期に日本初の近代プールを作り、日本で初めてクロール泳法をいち早く導入した。彼は高石勝男(パリ五輪で日本人初の入賞)らオリンピック選手を育て上げ、1924年パリ五輪では競泳監督を務め、1928年アムステルダム五輪で日本初の飛込監督になり、日本に水球を導入するなど、水泳の全てのジャンルでのパイオニア。それだけでなく、学童の水泳教育や女子水泳教育に力を入れて、1932年ロス五輪で女子水泳の監督になるなど、水泳教育の裾野を広げることに力を尽くした。さらに、茨木に関西で初めてのブラスバンド部を作り、本人は能楽やヴァイオリンを嗜む文人でもあった。杉本傳は、一部のエリートだけを養成するのではなく、多くの人とスポーツや文化の楽しみを分かち合うことに努めた。また、前例にとらわれずにクロール泳法など最新の知見を全国に広めた。

遺族や関係者の証言、杉本家の蔵や茨木高校から発掘された膨大な資料をもとに、大正時代から昭和、戦争を経て、戦後に至る杉本傳の知られざる生涯を茨木高校OBである脚本家・演出家の大野裕之が描くノンフィクションの伝記。

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