-箕面市- 箕面の「たきのみち音頭」がパンクに 少年ナイフの元ベーシストが制作
2026.07.01
90年代に世界的ブレイクを果たした3ピースガールズバンド「少年ナイフ」の2代目ベーシスト・Litsukoさん。現在はバンドを脱退し、箕面市を拠点に新たな音楽活動を行っている。地元ラジオ局の依頼で「たきのみち音頭」のパンクバージョンを制作するなど、地域に根ざした第二の音楽人生を歩んでいる。
憧れの少年ナイフのメンバーになるまで
大学の軽音楽部で最初にコピーしたのが「少年ナイフ」というほどの熱烈なファンだったLitsukoさん。卒業後はレコード会社で作曲の基礎を学び、2002年に京都の女子高生と「京阪ガール」を結成する。順調にキャリアを積みメジャーデビューの話もあがったが、相方の高校卒業を機に2004年に解散した。同年、大学生の従姉妹と「電気キャンディ」を結成し、キャリアを重ねていった。
少年ナイフとの縁が繋がったのは、京阪ガール在籍時だった。ファンレターを添えて対バンオーディションに応募したところ共演が実現。解散ライブにも少年ナイフをゲストとして招き関係性を築いていった。電気キャンディでの活動中のタイミングで少年ナイフからベースのサポートメンバーとしてオファーを受け、相方の大学卒業・就職の時期と重なったこともあり、Litsukoさんは少年ナイフへの加入を決断した。
当時のLitsukoさんはギターボーカルでありベースは未経験だったが、「ギターが弾けたらベースも弾ける」という言葉を信じて快諾。「憧れのバンドに入れる嬉しさと、若さゆえの勢いでした」と笑う。加入後3回目のライブがフジロックフェスティバルの前夜祭であるレッドマーキーステージと、いきなりの大舞台。影では特訓を重ね、指の痛みや爪が剥がれる痛みに耐えながら、ステージに立ち続けた。そして2008年に正式にメンバー入りを果たした。
世界を駆け抜けた日々
ニルヴァーナのカート・コバーンが熱烈なファンと公言し、ブレイク直前のニルヴァーナとツアーを共にした少年ナイフ。Litsukoさんが加入して最初の海外はバンドにとって13年ぶりのイギリス・ヨーロッパツアーだった。アンコールでラモーンズのカバーを演奏した際には激しいモッシュが発生し、倒れてきたマイクが激突して歯が欠けるというハプニングも「今では大切な思い出です」と笑い飛ばす。北極圏のノルウェー・トロムソでは街中の人が集まったかのような大盛況となり、北米・オーストラリア・インドなど、自分では訪れなかったであろう国々でもステージに立った。
「国内だとフジロックが印象的です」。超満員の会場でコール&レスポンスをした瞬間、前方から遥か後方まで全員が拳を突き上げる光景が広がった。「あんなに盛り上がったライブは他にない。あの前夜祭の熱気は今も脳裏に焼き付いています」。2008年の正式加入から2021年までの間に国内外300本を超えるライブをこなし、「世界中の音楽ファンと奇跡のような時間を共有できた、感謝してもしきれない経験です」と目を輝かせた。
ゼロになった葛藤
2015年、出産を機に第一線を退くと、子育ての日々に大きなギャップが待っていた。海外で活躍していたにも関わらず自分を知る人は誰もおらず、「ママ友にもミュージシャンだったことを話せなくて。これまでの歩みがゼロになってしまったみたいで」と当時の疎外感を明かす。ソロライブの誘いを受けたものの、ブランクで声も感覚も鈍り「もう音楽は諦めた方がいいのかなとまで思いました」。それでも音楽への思いを捨てられず、作曲家事務所に所属してコンペ用の楽曲制作を続けたという。
音楽でもう一花咲かせたい
コロナ禍のSNS企画「うたつなぎ」をきっかけに、元「ルーマニア・モンテビデオ」の三好誠氏と意気投合し、新バンド「モーフィングピープル」を結成。宣伝のため出演した箕面FMで、京阪ガール時代に制作したさだまさし「関白宣言」のパンクカバーをオンエアしたところ、パーソナリティの和氣貴志さんが気に入り「僕の作ったたきのみち音頭もパンクにカバーしてよ」と声をかけてくれた。「フォークや音頭のBPMを倍速にするとパンクになるんです」という経験則を活かし、2026年4月に正式リリース。今ではLitsukoさん自身も箕面FMで番組を持ち、「箕面と私を結ぶとても大切な曲になりました」と目を細める。
かつては世界を飛び回る一方、地元のムーブメントにはなかなか関われずにいた。「どこにも所属してこなかったことへの後悔と憧れがあって。これからは『箕面のアーティストといえばLitsuko』と言ってもらえるような足場を作りたい」。そして今はまだ母の過去を信じない子どもたちへ、「いつかお母さんってすごいバンドマンだったんだと伝えたい」と目を細める。子どもたちに誇れる姿を見せながら、「楽曲提供やバンドでもう一花咲かせたい」と新たな夢を語ってくれた。

茨木市のジャックライオンでのライブ風景
Litsukoさん
ミュージシャン、ベーシスト、シンガーソングライター。2009年、2代目ベーシストとして「少年ナイフ」に加入。少年ナイフは1981年に大阪で結成された3ピースガールズバンド。Litsukoさんは2009年~2021年の在籍期間中、国内外300本超のライブに出演。現在は箕面市を拠点に独自の活動を展開している。

2026年4月にリリースした「たきのみち音頭」のパンクロックverのジャケット。

2026年10月にバンド「モーフィングピープル」でドイツのレーベルからリリース予定のアルバム「res andres」。
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