新型コロナ 地元の中小企業や個人事業主への影響 北摂WEST
2020.09.04
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業要請で営業自粛を余儀なくされたり客足が遠のいたりと、中小企業や個人事業主が深刻な影響を受けている。しかし終息の兆しが見えない不安がありながらも、少しずつ再開する動きが見えている。休業中をどのように乗り越え、今後のためにどのような対策を立てているのだろうか。豊中商工会議所の吉田哲平さんに話を聞いた。
― 全体的な動き
豊中商工会議所では、緊急事態宣言が出された4月7日直後から5月までの相談件数がピークで、4~8月の4カ月間で昨年度の相談者数に達した。2月の相談内容は中国からの部品が届かず製品を納入できないなどで影響を受けた事案が数多く寄せられた。3月に入ると国内需要の減少に直面する小売・飲食・サービス・卸売・観光の業種から資金繰りに関する相談。4月になると、実質無利息となる融資・コロナ特別対応といった公的融資の相談に加え、雇用調整助成金、商工会議所で対応している小規模事業者持続化補助金の申込相談が殺到した。5月は府の「休業要請支援金」、豊中市の「小規模事業者応援金」と「産業活動助成金」、6月は府の「休業要請外支援金」、7月は国の「家賃支援給付金」などの相談と目まぐるしい動きがあった。4月から7月までの間に1200件強の相談件数となり、前年同期比の3倍以上となった。
― 業種ごとの動き
製造業、建設業では2月頃の中国を主としたサプライチェーン毀損の影響を受けた事案が多く、小売・飲食・サービス・卸売・観光の業種では国内またはインバウンド需要の減少・消滅による影響を受けている事案が多かった。小売・飲食・サービスでは、テイクアウト、オンライン活用の動きが一斉に起こり、「豊中テイクアウト報道」「緊急販路開拓支援(BM SOSモール)」といったツールの活用を当所では案内した。
― 取りこぼしの可能性も
商工会議所に相談に来られる企業や事業者は、積極的に情報を収集し制度を利用して今後に向けた対策に取り組んでいるケースが多い。一方で制度を十分に活用できず、廃業に追い込まれる事業者もいることが予想される。吉田さんは「商工会議所等のサポート機関からの情報が入ってこなかった方の中には、給付金や補助金の申請書の書き方はもちろん、どこに相談していいのかわからず、結果的に給付が遅れたり、締切に間に合わなかったという話も聞きます」と言い「ぜひ商工会議所をお気軽にご利用ください」と強調する。
― 試してほしい補助金制度
商工会議所・商工会が取り扱う「小規模事業者持続化補助金」は一般型に加え、コロナ特別対応型が創設された。同補助金は事業者の販路開拓の取り組みに要する経費の一部を補助するもので、コロナ型では「サプライチェーンの毀損への対応」「非対面型ビジネスモデルへの転換」「テレワーク環境の整備」の取り組みで、額は100万円にアップされ、補助率も拡充、事業開始日の遡及があるなど一般型に比べて内容が充実している。「給付金ではないので必ずしも貰えるわけではありませんが、しっかりと計画書を書けば可能性はあります。また、このように事業計画を出す補助金の中では簡単な方。不採用になったとしても、練習として出してみる価値はあると思います」。また、豊中市独自の補助金となる「豊中市売上アップ応援金」も比較的簡易に申請ができ、「試してほしい補助金」としている。
豊中商工会議所事務局長兼中小企業相談 所長 吉田 哲平さん「今年度(2021年3月31日まで)の会費が無料となっています。未加入の方はこの機会にぜひご相談ください」
小規模事業者 持続化補助金の採択例
【 飲食店 】
おばんざいのテイクアウト開始のための、チラシ作成、ショーケース、看板照明の改装にかかる費用など。
【 食品メーカー 】
新商品の情報発信強化のための、HPリニューアル、ECショップ、パンフレット制作にかかる費用など。
【 学習塾 】
Zoomによる双方向オンライン授業のための、ランディングページ作成、シティライフ等の情報誌掲載にかかる費用など。
記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。