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俳句コーナーVOL.31 入選作品を紹介!

2022.03.31

3月25日締切りでご投句いただいた中から、

山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。

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【 優秀賞 】

杣人の手に早春のにほひかな

和泉市 押見 げばげば

杣人とは山の木を伐る仕事をする人。冬が終わり、いよいよ春。杣人に出合い、木を伐るための手の平に春を感じたということです。伐採の仕事で活躍する杣の分厚い手を思います。「早春」という季語がよい働きをしています。

 

【 入 選 】

葛湯透く手術はうまくいきしてふ

高槻市 宮本  正章

手術成功を聞きました。そのことが俳句となったのは上五の季語の力です。

幼子の寝息あづかる春の雪

吹田市 小澤  桔梗

小さい子を預かれば気がぬけません。寝ている時もまた。春の雪がやさしい。

落椿行手行手にある日射

吹田市 秋山   寛

歩む先に日射しが降り注いでいます。その道に落椿。よいコントラストです。

検査着にこすれる肌春寒し

箕面市 高橋  真美

「肌」は「はだえ」と読みます。検査着の違和感が春寒に通じてきます。

春昼の厨ぽこぽこゆで卵

豊中市 上杉 千代子

茹卵を作っている音が、ぽこぽこ。春の昼ののんびりとした台所の音です

 

【 佳 作 】

早春や宿の歯ぶらしやや硬め

吹田市 高嶋  文範

試写会を出づるや頬に春の風

茨木市 河本   要

あかね雲窓いっぱいの冬木かな

高槻市 堀田  年子

探梅や記憶にありし水車小屋

吹田市 秋山   寛

歳時記に虚子の句ありて虚子忌かな

豊中市 安藤  知明

 ◆ つぶやき評 ◆ 

よい俳句の条件の一つは、何かを見つけること。特殊なことではありません。日常の中でのささやかな発見が詩になります。もう一つは、働く季語を選ぶことです。季語が働かなければ、説明や報告となってしまいます。

 

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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。

2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。

2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。

2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。

 

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【 俳句の応募方法 】

氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。

【 宛 先 】

〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23

株式会社シティライフNEW 俳句係まで

FAX 06-6368-3505

https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160

【 応募フォーム 】

※締め切りは毎月25日必着

※いずれも一人5句まで

※掲載は次々号となります

※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。

※お名前と作品を掲載します。

 

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山口昭男先生の最新巻の紹介

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