俳句コーナーVOL.47 入選作品を紹介!
2023.08.02
6月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
恐龍の話麦茶の琥珀色
中華人民共和国 楊 明枳
途中に切れがあります。この切れで話の中身が様々に想像できます。そして「麦茶の琥珀色」。子どもたちが楽しそうに水筒の麦茶を飲みながら恐竜の名前などを言い合いしている姿が見えてきます。切れが全てです。
【 入 選 】
かえりみちあじさいをみてこえがでる
吹田市 ありまいろは
「あっ、紫陽花の花」。発見と驚きが俳句という詩になりました。
咲き始む白芍薬のひんやりと
茨木市 山﨑 登代子
「ひんやりと」がよいです。白い芍薬の咲き始めであれば納得です。
気持ちは凹むし雨蛙は鳴くし
高槻市 葉月庵 郁斗
俳句は音とリズム。気持ちは沈んでいるのですが、リズムは明るい。
虹立つや高層ビルの窓掃除
四国中央市 星月 彩也華
高層ビルの窓の掃除を見上げていれば、虹が見えました。対比が面白いです。
歩行者はマネキンめきて褥暑かな
京都市 草夕 感じ
暑い中を歩く人はマネキンのように無機質に見えます。みな同じ顔にも。
【 佳 作 】
みづいろの絵本のとびら六月来
和泉市 押見げばげば
眠らねばわっと湧きだす若葉かな
豊中市 小倉 佳子
くもの糸たどりてゆけば摩天楼
茨木市 廣田 静子
いつか目の合はんと金魚鉢の前
豊中市 田村 由紀子
雲の峰睨む金剛力士像
大津市 近江 菫花
◆ つぶやき評 ◆
この俳句コーナーで評をしている山口の実作はどうなのかという問い合わせをいただくことがあります。六月に第四句集『礫』を上梓しました。興味のある方は「ふらんす堂」に問い合わせて、読んでいただければ幸いです。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
シリーズ自句自解Ⅱベスト100 山口昭男定価1500円+税 版元 ふらんす堂
既刊句集より100句抄出して著者みずからが解釈を付したもの。一句が出来上がるまでの作家の推敲のあとをたどることができ、実作者の句作りにおおいに役立つ入門書である。(Amazonなどで販売中)
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