俳句コーナーVOL.72 入選作品を紹介!
2025.09.01
7月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
草笛や兵士の墓はみな高し
吹田市 秋山 寛
現実に戦争が続いています。日々、兵士の墓が増えてゆくという事実に戦慄を覚えます。俳人は俳句でこの悲惨さを訴えるしかないのです。草笛が心を揺さぶります。
【 入 選 】
松園の女になりて梅雨に入る
吹田市 堀井咲千子
「松園の女」がよいです。梅雨入りの鬱陶しさも払いのけてくれそうです。
西日射す駅のホームの僕の影
大阪市 平川 直子
僕の影を見ている僕。その僕も西日にも様々な思いが込められています。
透明な野菜のスープ夜の秋
刈谷市 山本とりこ
動詞がない。ものと季語だけで澄みきった空気を描いています。
炎昼を十字に四条河原町
高槻市 土井あくび
四条河原町交差点を十字に横断。混み合っている暑さ極まる昼の一景です。
髪洗ふ心ほどほど許しけり
横浜市 岩橋 宣輔
髪洗う前は絶対許さないと思っていた決心が、今少しほどけてきています。
【 佳 作 】
言訳は一切聞かぬクレマチス
大阪市 小倉 佳子
始まりは仙人掌の花枯れた時
茨木市 角島 健二
瓢箪や見てきたやうに嘘を言ひ
茨木市 にしの泊瀬
詩を書けぬほどに幸せ金魚草
千歳市 村瀬ふみや
溽暑かなたとへば小さきアジフライ
大阪市 平川 直子
◆ つぶやき評 ◆
五七五の俳句は短い。短いと知っていながら、思いを伝えたいとついつい説明してしまう。その時点で散文になってしまいます。思いはものと季語を通して伝えてください。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介

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