【SDGs】IC付きエコバッグを使ったシステムで真の「エコ」実現へ
2021.08.01
レジ袋の製造や廃棄による環境負荷を減らすため昨年から始まった「レジ袋有料化」。しかし「次はエコバッグの大量生産に伴う大量廃棄を懸念しているんです」と、箕面市の株式会社MILKBOTTLE SHAKERS(ミルクボトルシェイカーズ)代表の喜多泰之さんは話す。
喜多泰之さん プロフィール
株式会社MILKBOTTLE SHAKERS代表。豊中市在住。アパレル業界で働く両親のもと、幼い頃からファッションに興味を持つ。学生時代からアルバイトをしていたアパレル企業「アーバンリサーチ」に就職。店長職からブランドPR、バイヤー、イベント企画など多岐に渡る業種を経験し2018年退社。同年、フリーのブランディングディレクターをスタート。2019年にブランディングやマーケティング、コンサルティングを手掛ける現在の会社を設立。
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同社が今春から開始したエコバッグシステム「Loopach(ルーパック)」は、「企業の作りすぎによるエコバッグの無駄をなくす」ことを目標に掲げる。生みの親である喜多さんは「これまでの経済的価値観を変えたい」と挑戦の日々を続けている。
Loopach EcoBagシリーズの中で一番大容量のモデル“Market Tote”(税込3,718円)は、保冷機能のあるインナーバッグを搭載。
出先で予想以上の買い物が発生した際でも保冷インナーバッグと外側本体を分離することで、約2倍の容量を確保できる優れモノ。
長期使用を想定しているため、外側のバッグ本体は洗濯が可能だ。
誕生までの経緯
初の自社ベンチャー事業となるLoopachは、これまでの喜多さんの経験がヒントになった。20代に仕事で訪れた海外では、同世代に「日本人はいつまで“プラバッグ”を持っているの?」と批判的に言われた。一方で国内の梱包材メーカーからは「レジ袋が有料化になったとたん、自分たちが悪者扱いされるようになった」という嘆きも聞こえた。日本人の環境意識の低さや、業界のひずみを知った。
また前職での活動や企業のコンサルティングに関わるうちに、「今後は環境や社会を見据えたビジネスは成長のため不可欠になる」と確信した。「今はアパレル業界でも、再利用する『リサイクル』や、さらに付加価値を付ける『アップサイクル』が浸透してきました。それもいいのですが、本当の意味で環境を考えるのであれば、『1つのものを長く使う』という価値観を持つことが大事なんです」と喜多さん。
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以前から関心のあったアパレル業界における「大量生産・大量廃棄」の問題とともに、これまでの仕事を通じて実感した、将来のビジネスの在り方を組み合せたアイデアがLoopachとして形になった。
上質なバッグであることはもちろん、外箱のパッケージにもこだわって生分解可能な素材を使用。
側面には「Loopach is your last shopping bag.」とメッセージが書かれている。
システムの仕組み
Loopachの仕組みはこうだ。ICタグ付きの専用エコバッグを購入した消費者は、協力企業や店舗にあるリーダーで、買い物をするごとにICを読み込む。事前にスマホなどにインストールした専用アプリ内でポイントが貯まり、レジ袋を使用しない日々の積み重ねが可視化でき、環境への貢献を実感できる。
また、ポイントは基金として利用され、非営利法人やソーシャルベンチャーへの寄付や投資が可能となる。営利のみを追求する企業が参入して本来の目的からそれるのを防ぐため特許も出願。今は専用バッグのみだが、今後は他社とも連携して、カバンや繰り返し使えるカップなど、容器や収納用具全般で展開する計画もある。
加盟店で置かれる予定のICリーダー。
「レジでお会計をする際に『袋いらないです』ではなく、『Loopachで!』とみんなが言っているのが自然な光景になると最高ですね」と喜多さん。
大阪・関西万博までに「関西で当たり前」に
システムを成立させるためには、消費者と同時に協力企業の賛同が不可欠だ。Loopachは従来のビジネスモデルとは異なり、非営利の側面も大きい。一部のグローバル企業は関心を寄せているが、まだまだ一般企業や個人商店にはハードルが高い。
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大手企業・団体への賛同を募りながら、喜多さんは「地域の商店街にこそ興味を持ってもらいたい。地元の個人商店の方が意義に賛同して使うことで、身近な人々の価値観にも影響するのではないか」とも考える。今後の展望については、「2025年の万博までに、『関西ではLoopachが当たり前』になっていたらいいなと思います。世界初のシステムでもあるので、日本に来た海外の皆さんに『なにこれ?いいね!』と新鮮な驚きを与えたいですね」と語る。ポイント寄付で社会に貢献できる“真のエコバッグ”。喜多さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。
「ミルクボトルシェイカーズ」ロゴ
<該当目標>
【12.つくる責任 つかう責任】
一つのモノを長く使うほどに価値が向上していく仕組みを形成することで、モノの作り過ぎによるSDGsウォッシュを防ぎ、環境負荷軽減に貢献。
【17.パートナーシップで目標を達成しよう】
事業者・市民・非営利団体などのマルチなステークホルダーで手を取り合い、地域単位で文化形成をしつつ社会課題へアプローチしていく。
Loopach公式サイト
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