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新型コロナウイルス感染症 第3波の現状について【豊中市保健所インタビュー】

2021.02.20
豊中市保健所の松岡太郎所長

 

第3波の渦中にある新型コロナウイルス感染症について、現在も毎日のように報道がなされている。全国的な動きや府の情報は大手メディアで把握している人も多いだろうが、身近の状況については意外と知らないのではないだろうか。実際のところはどうなのか、豊中市保健所所長の松岡太郎さんに話を聞いた。

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豊中市の現状

全国の報道と同様に、現在は同市でも第3波のピークを越えて感染者数は減少傾向にあり、「今後も減り続けるでしょう」と松岡さん。「ただし、1波~2波の間である昨年6月頃は感染者が4週間ほどゼロだったのが、2波~3波の9、10月は1日数名でした。次がどうなるのか、動向を注目しています」

”波”の詳細についてこう続ける。「波の初期は20~40代の若い世代で、後半は60~80代で施設や病院などでのクラスターが起きることが多い。若い人は比較的元気なため、感染していても外に出てしまいます。そのまま多数と接触して、後半に高齢者が感染して重症化というケースが見られます」

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「医療のひっ迫」とは

市内の病院では、従来の病床数を「コロナの重症者用」「コロナの軽症・中等症者用」「コロナ以外の患者用」の3つに分けている。現在、感染者数は減っているものの、時間差で症状が悪化するため油断はできないという。

医療現場においては「いつ何が起きても対応できるよう、特に軽症・中等症者用のベッドは一定数を確保しており、同時にスタッフもそちらに取られます。コロナ患者が少し減ったからといって元に戻すと、改めて確保することが難しいので、すぐに変えることはできません。そのため、今はコロナ以外の患者の病床がひっ迫しているという状況です」

心がけてほしいこと

まずは「減少傾向だからといって安心せずに、引き続き感染症対策を行うことが大事」と松岡さん。初期段階では若者の感染が多いことから「『少しだるい』『鼻水が出る』といった症状でも、『疲れているだけかな』など普段通りの生活を続け、感染を拡大させている可能性があります。発熱していなくても、大事を取ってステイホームしてください」

また「マスクは定着してきましたが、手洗いやアルコール消毒が疎かになりがちなので、気を付けてほしいですね」とも話す。

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「症状が出たら」改めて手順を確認

同所では普段から近所のクリニックなど「かかりつけ医」を持つことを勧めており、コロナの疑いが出たらまずはそこへ連絡するのが一番だという。そうでない場合、発熱があったからと病院に行っても検査を断られるケースも。かかりつけ医を持つ方が検査までの手順がスムーズだ。

ワクチン接種に向けて

同所では1月5日に「ワクチン接種対策チーム」を結成。接種に向けて準備を進めている。

「国では一か所で大人数に接種する『集団接種』を進めていますが、豊中市ではクリニックなどで受けられる、より安全な『個別接種』をメインに考えています」といい、高齢者など人の集まる場所が不安な人やかかりつけ医を持つ人は個別接種、それ以外の人や仕事などで時間が取れない人のために集団接種を検討している。

ワクチンへの不安がある人に向けて、3月からコールセンターを設置するほか、安全性について気軽な雰囲気で説明できる場を設ける予定という。

市公式YouTubeチャンネルでは松岡所長が出演。ワクチンの接種方法などを解説する

 

「『ワクチンさえ打てば、もう大丈夫』と考えがちですが、感染者はすぐにゼロになりません。若い人は特に『自分たちの後ろには、高齢者がいる』ということを忘れず、ある時期までは感染症対策を怠らずに続けてください」と松岡さんは強調する。

※取材内容は2月中旬時点のものです。

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記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。